第10回駒場ひかりらうんじ

第10回 5月14日(木)

第一部:16:00 - 18:40 於:東大生研An棟4階小会議室2(An406)

話題 光学技術の最前線
1)量子光学最前線  東大院工 古澤明氏
2)素朴な疑問シリーズ

第二部:19:00 - 21:00 自由な意見交換 於:ペスカビアンカ(駒場東大前駅西口から徒歩3分)


経過:

16:00から12名の参加でスタート.まずは東京大学の古澤明氏から,”量子光学最前線”というタイトルで,最近の古澤氏の成果についての講演がありました.1つめの話題は量子光学の基礎にかかわるテーマで,光子の非局所性をホモダイン測定により明らかにしたという結果です.安定なミラーマウントや低ノイズ増幅器の開発など,技術開発を積み上げていった末に実現した実験だということです.2つめの話題は,量子もつれ生成の光学系をワンチップに詰め込み,そのチップ上でもつれあい光子対の生成と検出に成功したという話題です.光学定盤上の1平米もの面積に張り巡らされていた光学系が10円程度のスペースに圧縮されたということで,量子コンピュータを用いて大規模な計算を行うということが一気に現実味を帯びてきたという印象を受けました.

2番目は,素朴な疑問なのにうまく回答が見出せない,簡単だけど結果が予想できない実験,電磁場的に説明できても光子の挙動という観点からは説明ができない,等々の問いをらうんじメンバー各々が持参し,その場で議論しようという新しい企画です.入射光線と反射光線が空間的にシフトするグース=ヘンシェンシフトが,スポットを作る入射波をいろいろな角度で入射する平面波に分解すれば自然に導かれることや,一見エネルギー保存則を破っているように錯覚してしまうような系でも,反射光と透過光の位相や実現可能な系かどうかまで考慮に入れれば,決して保存則が破られることはない・・・などなど,単純ながらも深みのある問いが出されました.2名からの問題提起で時間切れとなりましたが,活発な議論がなされました.

第二部はいつもの駒場東大前駅西口から徒歩3分のイタリアンレストラン,ペスパビアンカで行われました.意見交換は,第一部を引き継いだ光学の話題から,食べ物などの日常的な話題まで,その内容に拡がりを見せました.おいしい食べ物と有意義な意見交換に満足し,第10回の駒場ひかりらうんじを終えました.