第9回駒場ひかりらうんじ

第九回 1月20日(火)

第一部:16:00 - 18:40 於:東大生研An棟4階小会議室2(An406)

話題 光学技術の最前線
1)光学技術最前線~イントロダクトリートーク 東大生研 志村努氏
2)量子光学最前線  東大院工 古澤明氏
3)顕微鏡超解像の最前線  ニコン 照井勇輝氏
4)逆問題の数学の最前線  東大院数理科学 山本昌宏氏
5)天文撮像法・ベイズ的スパースイメージング法の最前線 統計数理研 池田 思朗氏

 

第二部:19:00 - 21:00 自由な意見交換 於:ペスカビアンカ(駒場東大前駅西口から徒歩3分)


経過:

16:00から16名の参加でスタート.まずは東京大学の志村努氏から,”光学技術最前線~イントロダクトリートーク”というタイトルで,光学・ 光産業のこれまで のトピックス,およびこれからのトピックスについて講演がありました.光源や 光計測などの光に直接関連する分野に加え,自動車, 医療,土木や農業など, いままでは光に直接関係しないと思われてきた分野においても,計測・表示技術としての光関連技術が重要になってきているというお話がありました.

2番目に東京大学の古澤明氏から,”量子光学最前線”というタイトルで,量子テレポーテーションを用いて量子コンピュータを作ることについて講演がありました.量子コンピュータが実現されれば,超低消費電力のスーパーコンピュータができるとのことです.その基礎技術となる量子テレポーテー ションを用いた演算については既に実用レベルに達しており,1チップ化されたデバイスの開発もすすめられているとのことです.

3番目にニコンの照井勇輝氏から,”顕微鏡超解像の最前線”というタイトルで,2014年のノーベル化学賞受賞分野である超解像技術についての講演がありました.構造化照明法・ローカリゼーション法・誘導放出法などの超解像技術を用いれば,10 nm以下のサイズの細胞内小器官などのイメージングが可能となり,顕微測定もMicroscopyの時代からNanoscopyの時代に突入したとのことです.

4番目に東京大学の山本昌宏氏から,”逆問題の数学の最前線”というタイトルで,質の悪い(ノイズを多く含む)測定データから逆問題の解を求める数学的手法について講演がありました.数値的不安定性の大きな逆問題を,Tikhonovの正則化を用いれば解くことができ,また,正則化の手続きを巧みに用いることでエッジ検出などの応用にも使えるとのことです.少数データからの拡散方程式のパラメータ推定,およびノイズを含む画像の輪郭線抽出などの応用例も紹介していただきました.

5番目に統計数理研究所の池田思朗氏から,”天文撮像法・ベイズ的スパースイメージング法の最前線”というタイトルで,スパースモデリングの方法の基礎と その応用について講演がありました.データ点数よりも決めなければいけないパラメータの数の法が多い不良設定問題を,スパースモデリングを用いれば解くことができるとのことです.その応用例として,電波干渉計のデータから,ブラックホールの像を回折限界を超えて解像する方法について紹介していただきました.第一部は活発な質疑応答が続き,終了予定時刻を40分超過した18:40に終了しました.

第二部は駒場東大前駅西口から徒歩3分のイタリアンレストラン,ペスパビアンカで行われました.第一部の話題を引き継いで活発な意見交換が行われ,第九回の駒場ひかりらうんじを終えました.